(かさもりいなりじんじゃ/長野県松本市中央1丁目)
取材日:2005年5月2日
由緒は不明ですが、瘡守の「瘡(かさ)」とは、皮膚病や梅毒などの
病気を表す文字だけに、何かこの地で流行った伝染病から人々を守る
ために創られた神社ではないか、と推測されます。 大学の30年ぶりの同窓会で行った松本市で見つけた稲荷神社です。市 内をぶらぶらしながら例によって稲荷探索をしていたのですが、小さ な稲荷や、朽ち果てた稲荷はあるものの、ちゃんと狐がいる稲荷は、 なかなか見つかりませんでした。あきらめかけたその時に、突然目の 前に現れたのが、この「瘡守(かさもり)稲荷」です。 |
よくあるパターンですが、この稲荷も寺(浄林寺)の一角に建てられています。松本駅 から松本城に向かう路地を歩いていると、突然、目に飛び込んできました。しかもバッ クに見える寺の本堂に負けないくらい立派な社です。 | |
神社を正面から見ると、こんなに見事に赤い鳥居が立ち並んでいました。たぶん、これ ほどの稲荷神社は松本市内には、ここだけなのではないでしょうか? | |
境内を斜めから見ると、こんな感じ。ほら、いましたよ、石狐が。なんだか、石狐は久 しぶりなので、とっても感激してしまいました。 | |
松本の石狐は、なかなかスタイリッシュです。コスチュームもほら、こんなにユニーク かなりの重ね着ですが、十分に着こなしています。それにバンダナを頭に巻いてストリ ート系ファッションです。左側の狐の顔が、少し欠けていて、痛々しかったなあ。 | |
脚のデフォルメもなかなかユニークです。かかと部分に少し切れ目が入っていますが、 これはどういうことでしょうか?でも適度な筋肉質で、なかなか精悍な感じです。よく 見ると、爪がとても鋭いですね。これは狐と言うより狼の系統のようです。 | |
「かさもりいなり」って、こういう字を書きます。この文字は「褥瘡」の「瘡」ですか らね。どのような想いで、この稲荷が祀られたのか、気になるところです。 | |
そして、この稲荷で最も注目すべきは、この巨大な張子の狐です。こんなの見たことあ りません。それに、この大きさときたら。いったい、どんな意図をもって作られたのでしょう? | |
それにしても、なんとものんびりしたお顔ですこと。これはもう狐というよりもお座敷 犬に近い表情です。前にある石狐とは全く違う。足だってまるで猫みたいです。その上この前掛けなのですから。 | |
張子狐の足元には、こんな看板がありました。なるほど紙ですからね。火でもついたら ひとたまりもありませんね。でも、確か稲荷って「火伏せの神様」でもあったように記憶しているのですが? |
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社の中を覗いてみました。すると、そこにもなんと、お狐様がおいでになるではありま せんか。ほら、太鼓のすぐ前に。赤い頬かむりをしておいでだ。真っ白なお顔でね。 |
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ズームで撮ると、こんな感じでした。どうもこれも張子のようです。真っ白ですね。そ れに黒と赤で鮮やかに彩色されています。赤い頭巾は、まるで「還暦祝い」みたいです けど。それにしてもここの狐たちは、とっても親しみを感じます。人々の想いが伝わってくるようです。 | |
お社には、狐の好きな油揚げがこんなに奉納されていました。 市内には打ち捨てられた稲荷も見ていただけに、これを見て、ほっとしました。 |