妻恋稲荷神社

(つまこいいなりじんじゃ/東京都文京区湯島三丁目)

取材日:2006年5月16日
奉納日:2006年5月24日

その昔、日本武尊の東征のとき、三浦半島から房総への途中で 大暴風雨にあい、妃の弟橘姫が海に身を投じて海神の怒りを鎮 めたという。途中湯島の地に滞在したので、郷民が尊の姫を慕 う心をくんで、尊と姫を祀ったのがはじまりと伝えられる。江 戸時代には、妻恋稲荷の名で有名となり王子稲荷と並んで参詣 者を集めた。江戸時代から伝わる木版刷りの縁起物が「夢枕」 と呼ばれるもの。七福神を乗せた宝船の版画で、正月2日の夜 枕の下に敷いて寝ると縁起のいい初夢が見られるといわれる。 (文京区観光スポット紹介ページより転載)


湯島界隈といえば粋なイメージですが、同時にこのあたりはよく知られたラブホテル街でもあります。妻恋稲荷はその真っ只中にあります。近くには有名な湯島天満宮もあります。
これが妻恋神社の由緒書きです。
この妻恋稲荷は、京都の伏見稲荷などと同様に、関東周辺の神社に「正一位」の稲荷を勧請していた神社として知られています。
ホテル街の道路に直接立っている石の鳥居です。両脇に立っているのは、妻恋稲荷のものではなく、湯島天神の幟です。
階段を上ると、その上はこじんまりとした境内で、そこに赤い鳥居が立っています。奥には小さな祠が見えます。
赤い鳥居に掛けられた額は地味なものです。関東周辺の神社に稲荷を勧請していた神社のものとは思えないほど質素ですね。
小さな小さな祠ですが、威厳は十分です。
境内には石狐はいませんが、祠の中にはお馴染みの瀬戸物狐がいました。湯島と狐、なんだか粋な組み合わせです。
階段を上って左手にはコンクリート製の社があります。妻恋神社の本殿はこちらでしょうか?
神社というよりなんとなく土蔵みたいですね。
その社の陰に、何やら石像が祀ってあります。
近づいてみると、それは地蔵尊でした。これがどういう謂れなのかは、定かではありません。
でもよく見ると、土台の前にこんなものがあります。欠けてしまっているので、はたしてこれが狐なのかどうかはわ かりません。色も少し赤みがかっていて、いつもの石狐とは少し様子が違います。
寄進者名簿でしょうか。たくさんの名前が並んでいます。
そしてその中央の額には「妻恋稲荷神社」と記されています。

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