師岡熊野神社

(もろおかくまのじんじゃ/横浜市港北区師岡町)

取材日:2007年11月28日
奉納日:2007年11月29日

 

師岡熊野神社は、関東地方における熊野信仰の根拠地であり、また、横浜北部の総鎮守の宮として、古くから慕われてきた神社なのだそうです。敷地の裏手にはこんもりとした森を従え、なかなか威厳のある神社です。その熊野神社の境内に、ひっそりと稲荷社があります。


綱島街道の大倉山付近から横道に少し入ると、この立派な石鳥居が左手に現れます。鳥居の奥には長い石段と、その先には大きな拝殿が見えます。
この大鳥居のすぐ右手に、稲荷社があります。
大鳥居の右手から、小さな階段が続きます。これが稲荷社への階段です。熊野神社本体の階段と違い、とても素朴で小刻みな階段です。奥には稲荷の祠が見えています。
これが稲荷の祠です。手前には小さな狐も見えています。小さな空間ですが、ここも稲荷特有の「妖しい空気」に包まれているように感じませんか?
祠を正面から見てみました。柱には稲束がくくりつけられています。しかも下向きに。祠の中には神爾はなさそうですが、一対の瀬戸物狐が座っています。祠の手前には賽銭なのでしょうか、1円玉が積み上げられています。
さて、これがこの稲荷の石狐です。もともとこの稲荷のために造られたものかは不明ですが、とても小さめで、祠の大きさにはぴったりです。尻尾は、ぴんと立っているのではなく、足元に巻きつけられているタイプです。
けっこう古そうな狐です。顔の造形も独特で、太い眉毛が特徴的です。あまり見かけない顔つきですね。脚は細いのですが、狐にしては大きく鋭い爪が表現されています。右脚は宝珠の上にちょこんと乗せられています。
上から見ると、コンパクトさが際立って、まるで子狐のようにも見えます。鼻先が短くて顔が扁平なのも、子狐っぽいイメージを強くさせるのでしょう。
隣には首のない狐が2体。いつ見ても哀れな気持ちになりますが、それでもこういう場所に置かれているのは、まだ幸せな方かもしれません。?
これは反対側の狐です。左脚が折れてしまっています。足元には子狐と鍵が彫られています。
顔のアップです。フラッシュが光ってしまったので、のっぺりと写ってしまいましたがやはり、眉の造形が独特ですね。
少し離れた場所に置かれていた石狐です。ここまで破損していると、ただの石ころに見えてしまうほどです。以前はきっと、どこかの稲荷を立派に守っていたのでしょうに。ここでゆっくり休めればいいですね。
これは熊野神社拝殿の陰にあったものです。朽ちたお堂や曰くありげな石の祠が、とっても妖しいです。でも、こういうの、好きですねえ。
どういういきさつで、ここに並んでいるのかわかりませんが、何か異様なパワーを感じます。たぶん、ここに詣でる人は誰もいないのでしょうが稲荷としての妖気、神力は十分なように思えます。
一番奥にあった石狐です。1対の大きな狐と、中央の小さな狐は、もともとは別のものだったのでしょうが、こうして並べられると、まるで両親に囲まれた子狐のような風情ですね。右手の母狐の足元にいる子狐は、中央の子狐の弟のようです。両親狐は、とても優しそうに見えますね。
一方、こちらの石狐はとても腕白な感じです。身体も筋肉質で、今にもその辺を走り回りそうな勢いを感じます。前に蜀台(?)が置かれていますが「大人しく、これを守っていなさい」とでも言いつけられたのでしょうか。

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