ななしま稲荷社

(ななしまいなりしゃ/横浜市神奈川区七島町)

取材日:2007年8月7日
奉納日:2007年8月10日

「ななしま通り」と呼ばれる小さな商店街の裏手に、ひっそりと佇んでいたお稲荷さんです。すぐ近くには「七島不動尊」という大きな稲荷があるのですが、この稲荷社にはいままで全く気が付きませんでした。


商店街の一角にある駐車場の奥に、なにやら赤いものが見えます。紛れもない神社の鳥居ですね。それもお稲荷さんの匂いもぷんぷんします。うっかり見過ごしてしまいそうなロケーションです。
神社へ続く石の階段です。その上り口には両側に石柱があり、「ななしま稲荷社」と記されています。その他の記述内容からすると、この稲荷は昭和初期に創られ、ここから少し離れた一宮神社の管轄のようです。
最初の鳥居にある神額を見ると、この稲荷社は伏見稲荷からの勧請を請けたもことがわかりますね。
階段を上りきったところにある鳥居の手前両脇に、真っ白な石狐がいます。ちょっとわかりにくいですが、見えるでしょうか?
これは右側の狐です。全体的にふっくらしており、表面は最近塗られたようで、真っ白です。足元には太いたっぷりとした尻尾が巻きついています。
あまり見たことのない造形です。顔は長くなく、鼻から口元にかけては、もっこりとしています。狐特有のシャープなイメージではなく、むしろおっとりした印象を受けます。
足元には宝珠が押さえられています。こちらから見ると、なんだかカタツムリみたいですね。
宝珠に乗せられた前足の爪はけっこう鋭く描かれていました。
こちらは左手の狐です。足元には子狐がじゃれついているところを見ると、メスなのでしょうか?
でも、こちらの狐の方がとても厳しい表情をしています。目つきも鋭いし、口をあけて鋭い牙を見せていますね。やはり、女は怖い??口元が赤いのは口紅でしょうか?
おもしろいのは、この子狐の格好です。母狐の足元にじゃれつく子狐はよく見るのですが、このように正面にお尻を突き出しているのは初めてです。なんともひょうきんな感じがしますね。しっぽを両足の間にまるめているのは、けっこうなびびりなのでしょうね。
これがななしま稲荷の祠です通りから数段の階段を登ってきただけなのですが、とてもしんとした空気に囲まれています。
小規模ながら神社独特の雰囲気を十分に出しています
祠の前にある鉢には、青々とした榊が供えられています。
祠の子らの中には一通りの神社セットがしつらえてあります。
こんな小さな祠なのに、ここには伏見稲荷から勧請されたときの「神璽授与の証」が保管されてありました。となりの布に覆われたのが、その神璽なのでしょうか?
この稲荷は、小規模ですがきちんとした由緒があり、地元住民にきちんと祀られていることが感じられます。

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