(だいまちいなり/平塚市札場町)
取材日:2007年3月3日
奉納日:2007年3月15日
平塚の須賀漁港から歩いて3分ほどの住宅街にあるお稲荷さんです。この付近の現在の町名は「札場町(ふだばちょう)」となっています。札場というのは、このあたりの嘗ての呼び名だったのですが、台町稲荷という名称が、台町という町名に由来するものなのかどうかは定かではありません。ちなみに私が参考にしている某地図帳には、この稲荷の名称は「豊町稲荷」と記されていますが、たぶん「台町」の間違いかと思われます。最新版ではちゃんと修正されていました。
住宅街のこんないい角地に稲荷があるなんて。たぶんこの稲荷の方がずっと古いのでしょうから仕方ないですね。敷地はこじんまりとしていますが、稲荷としては実に濃密に構成されています。 | |
参道というほどの長さもないのですが、石の大きな鳥居の先に石灯籠、石狐を従え、奥には立派なお社と、なかなか充実した空間です。 | |
新しめの神額には、くっきりと「台町稲荷大明神」と刻まれています。 | |
これが台町稲荷のお社です。小規模ながら古びてなかなか風格があります。 | |
石狐はそう新しくはないと思うのですが、最近の筋肉質デザインの元になったような造形です。狐のイメージからはかなり外れかかっています。 | |
ぴんと立った大きな耳と、鋭く切れ長の目が特徴的な顔です。彩色は時々補修されているのがわかります。 | |
これが左手の狐です。脚のあたりの筋肉がかなり強調して表現されています。 | |
ぐっと閉じた口には巻物が咥えられています。 | |
この稲荷にはもう1対の狐がいました。これはお社の欄間ですが、ここに白狐が彫られています。バックには稲束があります。 | |
石狐の造形に比べると、こちらの狐はずいぶんとしなやかな感じです。 | |
こちらは振り返りながら跳躍しています。この手のレリーフ表現の際によく見られるポーズです。 | |
これは稲荷のお社の隣にあったものです。赤い鳥居と小さな祠ですが、これは道祖神でした。 | |
【屋敷社】 | |
台町稲荷の周辺の家には、このような屋敷社がいくつかありました。この辺りは、かつて交易の中継地だっってようで、その道中を守ったのでしょう。これは道祖神です。 | |
同じくこれも屋敷社ですが、これは道祖神か稲荷かは不明でした。いずれにしても、このあたりの人々はとても信仰心が厚いのでしょうね。 |