港稲荷神社

(みなといなりじんじゃ/平塚市千石河岸)

取材日:2007年3月3日
奉納日:2007年3月9日

相模川の河口近くにある小さな漁港「須賀港」にあるお稲荷さんです。農村では稲荷はよく見かけるのですが、漁業に関係する地域での稲荷は初めてです。なかなか雰囲気のある神社ですよ。



須賀港から相模川に出る水路の堤防にあるのが、港稲荷です。港というのは、この須賀港のことでしょうね。大きな桜の木があります。これが満開になれば、さぞきれいなことでしょう。
これが須賀港です。奥に市場の建物も見えます。ここから釣り船も出ているようです。なんとも、のどかな漁港でした。
階段を上り、一段高い境内にこの稲荷は建っています。
最初に古い石の鳥居が立ち、その先には真っ赤な鳥居がアーケードを作っています。稲荷独特の雰囲気ですね。
その赤いアーケードの先には石狐とお社があります。
漁師さんたちのお稲荷にしては、地味なお社です。手前には1対の石狐がちょこんと座っています。
境内からすぐ下には漁港が見えます。見晴らしのいいお稲荷さんです。
古そうな石の手水鉢には、稲穂のマークが刻まれています。
この石碑には稲荷大明神の他に「玉串道祖神」という名称も記されています。この付近では、多くの道祖神を見かけました。
これが港稲荷の眷属です。年代は古そうです。形も独特で愛嬌があります。毛並みに沿ってノミの跡が残されています。
目は大きく、少し下についているのが特徴的です。また、口元が極端に飛び出しています。そのため、折れたのでしょうか、補修の跡が見えますね。その口元には巻物が咥えられています。
真横から見ると、顔の形状の特徴がよくわかります。ちょっと犬っぽいですね。
これが左側の狐です。こちらは宝珠を持っています。
正面から見ると「こんなんですけどお!」っていう感じ。なんか、かわいいですね。耳が欠けているからでしょうかね?鳥の糞が涙みたいです。
でも横から見ると、けっこうシャープな感じなんですけどね。こちらの口元も補修されていました。
古そうに見えたのですが、この狐の土台には昭和48年とあります。それとも土台だけの設置時期なのでしょうか?
さて、かの石狐の手前には、ひっそりともう1対の石狐が座っていました。灯篭との間に挟まれて申し訳なさそうに座ってますね。
左手の石狐の手前にもいましたよ。
これは古そうですね。身体も苔むして、耳や口元も欠けてしまっています。頭が少し大きめなので、子犬のプロポーションのように見えてかわいいです。
足がやや太めなのも、子犬らしく見せているのかもしれません。素朴で味のある石狐ですね。こういうの、好きです。
【相模(馬入)川】
これが須賀港から相模川に出入りする水路です。向う岸の上にも何やら鳥居が見えますね。右手に見えているのが相模川です。
これが相模川です。別名「馬入(ばにゅう)川」とも言います。ここから数百メートルで相模湾になります。このあたりは汽水域ですから、たぶんシーバスなんかもいるのではないでしょうか?ルアーでも持って来ればよかった。
【土地の由緒】
須賀港の近くに交番があるのですが、その隣にあるのがこの石碑です。「相州須賀」とあります。このあたりは昔、相州と言ったようですね。須賀という地名はもう残ってはいません。ただ、バス停の名前には何箇所か残っているようです。
石碑の隣のたて看板によれば、このあたりは嘗て交通や経済の重要な拠点で、区画整理の際にここを中心にして町が構成されたようです。今では平塚市の端っこですけどね。

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