獅子ヶ谷稲荷(仮称)

(ししがだにいなり/横浜市鶴見区獅子ヶ谷3丁目)

取材日:2007年1月9日
奉納日:2007年1月13日

「獅子ヶ谷市民の森」に接する住宅近くにある稲荷です。環状2号線にも程近いのですが、このあたりは森林あり、池ありで、市民が自然や古い生活に接することのできる憩いの場所になっています。


入り組んだ路地を、稲荷の臭いを頼りに進んでいくと、脇道の奥に、赤い鳥居を発見!
住宅と立木の隙間からようやく見えるような感じで、うっかり見過ごしてしまうところでした。
金属製の鳥居に掲げられた、これは石造りの額ですが、彫られているのは「稲荷社」という文字のみ。特定の名称は記されていませんでした。それでここでは仮称として獅子ヶ谷稲荷と呼ぶことにします。
鳥居の先には10段ほどの石階段があり、その上に小さな社が見えます。いったい、どんなお稲荷さんなのか、どきどきする瞬間です。
鳥居の足元にある石碑には「灰久保」と書いてあります。ここの地名は獅子ヶ谷ですが近くには「灰ヶ久保広場」と呼ばれる場所があり、これもきっとこのあたりを指す地名だったのでしょう。
同じく鳥居の前にあった手水鉢ですが、その正面には十字が彫られています。稲荷神社ではあまり見かけない印ですが、これはいったい何の印なのでしょうか?
階段を上りきった小高い場所には、このお社がぽつんと建っているだけです。周りは草が生え放題。石狐の姿も見当たりません。
日常的にお祀りされている様子はありません。ちょっと淋しい感じです。早速、中を覗いてみましょう。
お社の中には、このように小さな祠があります。でも、両脇の榊は、もうカラカラになっていますね。祠は赤く塗ってあったようですが、それも今ではだいぶ薄くなってしまっています。
祠の背後にあった木札には平成8年に修復したことが記されていました。なるほど、一応メンテナンスはできているみたいですね。
さて、いよいよお狐さんですが。このように小さな1対の眷属がいるだけです。それでもひっそりと、この祠を守っていました。けなげですね。

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