宝稲荷神社(仮称)

(たからいなりじんじゃ/山形県寒河江市西根)

取材日:2005年5月1日

山形市の西方約10キロほどのところにある寒河江市。サクランボの
産地として有名な町だ。その東部に位置する西根地区で見かけた田圃
の中のお稲荷さんを紹介しよう。この稲荷は、この周辺の農家が共同
でお祀りしている稲荷のようで、正確な名称や由緒はわからない。
「宝」というのは、この周辺の旧の地区名。いつも米が豊作なので宝
のような土地だ、ということでそう呼ばれているとか。それも、この
稲荷のおかげなのだろうか?


田圃の真ん中を突っ切る道路昔は馬車しか通らないような 細い農道だったのに今はここを車がびゅんびゅんと通り過 ぎていく。そんな道ばたに昔からあったのがこの稲荷。数 本の松の大木に囲まれて、この一角だけが特異な空間であ ることを、いやがうえにも感じさせる、稲荷の典型的な演出だ。
以前には無かったのだが立派な真新しい金属製の鳥居が立 っていた。その奥にある社は小さいながらも立派な風格を 持っている。ここで長い間村の稲作を見守っていたのだろう。
規模の割には立派なスチール製の真新しい鳥居には立派な 額があり、そこには「正一位稲荷大明神」と記されている そしてこれを奉納した人の名前もあった。「黄綬褒章授章 記念犬飼亦吉」。なるほど
社はこんな感じで実に素朴だ全体が赤く塗装されており、 いかにも稲荷っぽい。詳細の造りを見ても、ちゃんとした 細工が施されており稲作を守ってくれる神様に対しての真 剣な態度がうかがえる。
社の扉には鍵がかかっており中は真っ暗で覗いても何も見 えなかった。そこで扉の細い格子にカメラをくっつけて内 部を撮影したのがこれだ。なんと、そこには白いお化粧を 施された実に素敵なきつねがいたのだ。しかも、二匹。木 でできているようで、しなやなかな身体と、やや小降りな 耳が特徴的。表情も、とてもやさしい。
この写真では、右側のきつねの表情がよく見える。目が小 さめで、口元もやや微笑んでいるみたい。こんなやさしい 表情のきつねは、あまり見たことがないなあ。
そして、左側のきつね。顔が少々長いのかな?それにして も、なんとか全身像を拝みたいものだ。今度は近所に頼ん で扉を開けてもらおうかしら。

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